エロには手っ取り早さが求められる時がある。
確かに、完全に片思いだった高嶺の花と3巻くらいかけて関係を育みやっと結ばれるみたいな話は焦らされたぶんだけカタルシスがデカく、ふたりの門出を祝うシャンパンの如く発射できるだろう。
しかし、下半身まるだしのまま3巻も読んでいたら風邪をひくし、そうやってモタモタしているあいだに、突如現われたチャラ男くんに高嶺の花の太ももに謎の「正」の字を書かれてしまうのが生き馬の目を抜くようなエロの世界である。
第一印象最悪だった感じの悪い女のカワイさにだんだん気づいていく、というツンデレものもやぶさかではないが、打たれ弱いと最初のツンを食らった時点で「すみません、二度と話しかけないんで、腰に手を当てた仁王立ちで怒らないでください」と、心と股間が折れてしまう。
私も年を取るごとに、フィクションくらいは「俺に優しい」ものが見たいと思うことが増えてきた。
エロにおける「優しさ」とはなにか。
妖艶な痴女と出会って4秒でコンバインという農機具みたいな話は手っ取り早くはあるが「それはそれで怖い」し、「出会って4秒の股間に俺を預けるのか?」と大事な息子に不信感を抱かれる恐れがある。
やはり「自分が前から好意を持っていた相手も実は自分に好意を持っていた」というのが、いちばん股間に嬉しく心に優しいのではないだろうか。
さらにその相手が「助平」だったら手っ取り早さもあって言うことがない。
これには思春期の息子も「親父うまくやれよ」と肘でこちらを小突きながら小声で応援してくれるに違いない。
今回紹介するのは、そんな半分は優しさ、半分エロでできたバッファーみあふれる作品である。
『コンビニで出会ったエロい女の子と爛れきった関係になりました』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)