「えろとぐろ」
こう書くと絵本のようだが間違っても児童に見せてはならないジャンルである。
エロと猟奇、暴力性というのは切っても切れない間柄であり「SM」も羞恥や苦痛を与えることで快感を与えるプレイである。
創作にも「リョナ」と呼ばれるジャンルがあり、元はゲームなどのヒロインがやられる(性的な意味ではない)声を聞きながらシコるという「猟奇オナニー」という意味だったそうだが、最近では、「肉体的に痛めつけながらエロいこともする」というマルチタスクジャンルという意味で使われることが多い。
この「肉体的に痛めつける」というのがたまにシャレにならないレベルな時があるので、リョナものばかり描く同人作家に「なぜこんな酷いことをするのか、このキャラがそんなに憎いのか」と問いただしたところ「嫌いな相手の内臓なんか描きたいわけがないだろう」という答えが返ってきたという逸話があるので、人間の性癖というのは奥が深い。
倫理的な是非(ぜひ)は置いておいて、そのようなジャンルで興奮する人がいるのは確かである。
しかし、オシリス文庫はわりとコンプラにはうるさいし、それ以前に「ライトノベル」と謳っているのだから、過剰なエログロや、ましてリョナなど存在しないだろう。
そんなわけで、今回まず紹介する作品のテーマは「ヒトイヌ」である。
それを担当から聞いた時は我が耳を疑った。
「ヒトイヌ」と聞いてまず連想するのが、某バイオレンス漫画に出てきた、膝下、肘下を切り落とされ、犬のように這ってしか歩けなくなった人間であり、ついでに舌も抜かれ喋れなくもされている。
昔の中国では実際そのような刑罰があったそうだ。
どこにも「ライト」な要素がない、リョナ愛好者からすれば「黄バイエル」程度の初歩なのかもしれないが、ライトノベル読者層にとってはレベルが高すぎる。
しかし、オシリス文庫が本当に四肢を切られた人間を出すなどという「この種も仕掛けもない箱に美女を入れて両断すると、死にました」みたいな単純な真似はしないだろう。
逆にライトノベルでどう「ヒトイヌ」を表現するのか興味深い。
前置きが長くなったが今回紹介するのは『ダンジョン温泉綺譚 (1) 淫魔な女将とヒトイヌ令嬢』という作品である。
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)