今年は大変だった、おそらく大変じゃなかった人はあんまりいないだろう。
確かに私にとって「外出自粛」というのは「てめーはいつもどおりしていろ」と言われたのと同じなので影響は皆無だが「本屋が閉まっている」というのは、作家として致命的だった。
そのぶん電子書籍が伸びただろうと思うかもしれないが、あれはもともと売れていた本の電書がさらに売れたにすぎず、売れない本は売れない以前に、存在を知られるところにすらいけなくなってしまった。
オシリス文庫は電子書籍専門のレーベルだし「外に出るな」「他人と濃厚接触するな」というふたつの要請から導きだされる正しい行動は「G」しかない。
よってオナニーを強力にサポートする作品を大量輩出しているオシリス文庫は売り上げが上がったんじゃないか、と思うが「ウハウハですよ」と言われても腹が立つので、答えなくていい。
そして今もまだ先が見えない状況である。
なにが言いたいかというと、世の中と現実が暗いから、エロでまで暗くなりたくない、という話である。
確かに、エロは暗い方が抜けるという人もいるし、特に日本人はその傾向が強いらしい。
暗くて抜ける日本で人気のジャンルと言えば「NTR」であり、最近ツイッターで「清純だった彼女がNTRれ、完全体の痴女と化したビデオレターを送られてきたが、唯一顔だけはかわいかった彼女のまま残されていて主人公大号泣」というNTR作品のあらすじが流れてきて、自分も泣いてしまったが、正直メチャクチャ抜けるだろうなとも思った。
しかし、抜いたあと精神的再起に1ヵ月半ぐらいかかるのは容易に想像がつく。
よって、そんなエロの揉み返しを食らわないために、オカズにするなら恋人同士など、お天道様に顔向けできる関係のふたりがタイマンを張っている作品がいちばんいいのではないかということである。
オシリス文庫には複数の相手と関係を持つハーレムものも多い、本人たちがそれでいいならいいが、やはり原則一夫一妻の国で育つと違和感を覚えるところがあり、創作といえども一棒一穴がいちばんしっくりくる。
しかしそういう作品には「普通やんけ」という欠点がある。恋人同士が一対一でセクロスするなんて当たり前すぎてフィクションでわざわざやることか、という気がしなくもない。
たとえ関係性は普通でも、創作である以上エンタメとして面白くなければいけない。
そんなわけで今回紹介するのは『お嬢さま調教旅行 セックスのセの字も知らない堅物カノジョをマゾペット化する6泊7日』である。
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)