「男なんだから性欲があるのは当たり前」
下半身の不祥事を起こした者がそんな言い訳を口にすることもあるが、それは大きな間違いである。
まず、女でもハチャメチャに性欲がある人もいる。
むしろ、男の性欲云々より女には性欲がないという誤解の方が女としては困る。
とにかく人間なら性欲があるのは当たり前である。
しかし「目の前のJKのケツがどれだけまぶしくとも、手を伸ばす前に田舎のおっかさんの顔を思い浮かべて瞬時に解脱(げだつ)できる」など、己の性欲を自在にコントロールできてこその人間、そして「人間の漢(おとこ)」である。
それができなければ、ただの動物のオスでしかない。
しかし、世の中には残念なことに、己の性欲に負けて動物と化してしまう人間もいる。
そんな人間のオス、否、ケダモノが「お嬢さんをください」とやってきたらどうだろうか。
まだポメラニアン(♂)が来た方が「カワイイ」という一点のみで「採用」である。
ただでさえ、娘が連れてくる男というのは父親にとっては苦々しいものであり、どんなに文句のつけどころのない「俺が女だったら、俺よりコイツに抱かれるわ」という男を連れてきたとしても、なにかケチをつけずにはいられないらしい。
私の父も私が結婚する時、夫に対して「視力が悪いのが気になる」という、よくわからない難癖をつけていたが、今思えば「女を見る目」という意味で視力が悪すぎることを指摘していたのかもしれない。
つまり私の心配ではなく夫の心配をしていたのだ。
しかし、娘がどんな男を連れてくるかが父親にとって一大事なように、男にとっても恋人の父親がどんな男かは大きな問題である。
料理は美味いが、店主の性格が最悪という店があるように、パートナーのことは愛しているが、その製造元はどうにも愛せないということはよくある。
また、性格的に難がある場合だけでなく、パートナーの実家の家業が、職人という意味ではなく「『道』を『極』めている系」ということもある。
今回はそんな「結婚を考えた相手の実家が特殊すぎた」という話である。
『婚約女神の堕落試練』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)