先日「某動物園のパンダが4年ぶりに交尾」という、もう少しパンダの気持ちを考えてほしいニュースが話題になっていた、完全に人権ならぬパンダ権の侵害である。
しかも「4年ぶりに交尾」というと、かなりご無沙汰のように聞こえるが、世の中には四半世紀も夜の音沙汰がない夫婦など山ほどいるだろうし、何年ぶりどころかセックスしてない歴=年齢の、異世界転生もせずに魔法使いへのジョブチェンジに成功した御仁(ごじん)だってそこまで珍しくないだろう。
そういう方からすれば「4年ぐらいで騒ぐな」だろうし、それだったら俺の「3週間ぶり2回目の中折れ」というホットなニュースも取り上げてくれ、という人も多いだろう。
なぜ人間がパンダの交尾にそんなに前のめりかというと、そのAV(アニマルビデオ)をオカズにシコりたいからというわけではなく、パンダの繁殖力が弱く、放っておいたら絶滅しかねないからである。
「絶滅したら困る」というのも、完全に人間の都合であり、パンダが「俺の代で店じまいですわ」と思っているならそれでよく「末代まで祟ってやる! あっ俺が末代か!(爆)」という大爆笑ギャグを言いたいなら邪魔するべきではない気がする。
しかし、パンダはあまり乗り気ではないようだが、動物にとって「繁殖」はとても重要なことである。
中にはカゲロウのように「繁殖するためだけに生まれてきた」ような生物もいる。
人間にも繁殖するためだけに生まれてきたような奴もいるが、それは「繁殖までの過程」が好きなだけで、むしろ繁殖段階になったら逃げだす場合もある。
人間のように繁殖を目的としない交尾をする生き物はまれであり、昔読んだ漫画にも「繁殖目的以外のセックスは全部変態行為だ」というようなセリフがあった。
つまり、魔法使いか、子作り以外でセックスをしたことがないという百発百中のスナイパー以外の人間は軒並み変態ということである。
「コンドーム携帯」は人間のあいだではエチケットかもしれないが、ほかの動物から見れば胸ポケットに常時アナルビーズを忍ばせているくらい奇異なことなのかもしれない。
オシリス文庫にも主に「繁殖行為」をテーマにした、生物学的にも貴重な資料が多く収蔵されているのだが、やはり「繁殖過程」の方に重きを置いており、繁殖目的でない生物上変態行為率も高い。
しかし「繁殖目的でなくても繁殖してしまう可能性」を全く考慮していないのもよくないので「ピルを飲んでいる」という描写が意外と多いのもオシリス文庫の特徴だ。
「ヤればデキる」というのは、ただの根性論ではないのだ。
しかし、やはりセックスの本分は繁殖である。
今回紹介するのは「目的は繁殖」という、生物的には全く変態ではない「健全本」と言っていい作品である。
『種乞い狐のスケベなお宿へようこそ!』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)