誰しも子どものころに一度は「透明人間」になってみたいと思ったことがあるのではないだろうか。
しかし、大人になってもなりたいと思っているのは、相当に無邪気な人か、全国指名手配されている人以外あまりいないと思う。
確かに自分の意志で透明になれたり戻れたりするなら、今からでも欲しいチートスキルだが「ずっと透明人間」というのはどう考えても困る。
昔少年漫画雑誌の恐怖系漫画で、透明人間になって悪行の限りを尽くすが、車に轢かれてしまい、周囲に助けを求めるも、当然姿は見えないので放置され、そのまま死ぬというものがあったが、これが全てを物語っている。
つまり「きもーい、透明人間に憧れていいのは小学生までよね、キャハハハ」とメスガキふたりに大爆笑されてもおかしくない発想ということだ。
透明人間になって大金を得たとしても、店員と対面で買い物することは不可能だし、商品を直接盗もうにも品物まで透明になるわけではないだろうから、50インチテレビがひとりでに店の外に出ようとしていたらさすがに異変に気づいて止められると思う。
そもそも、大金や貴重品が裸で置いてあるとは考えづらい、それを保管してある金庫などを開けるスキルがなければ、大金が入っていると思しき金庫を部屋に飾ることしかできない。
今はネットがあるので、盗んだ金を自分の口座に入れて通販、という手もあるが、それでも対面で商品を受けとることができないし、代引きも不可だ。
つまり、パクった金を己の口座に入金しソシャゲのガチャに使うというのが透明人間になった際の最適解である。
こう考えると、透明人間になるのも悪くないと思えるから不思議だ。
しかし、透明人間になってなにをするかと問われたら、第一に考えるのは金よりも「エロ」だろう。
「透明人間になって銭湯や更衣室に侵入する妄想をしたことがない者のみが、この罪人に石を投げなさい」という有名な言葉もある。
しかしのぞき程度ならやり放題と思うが、さすがに透明人間になったからといって「気づかれずに挿入」は無理だろう。
それこそ文字どおりイチモツが肉眼で見えないほど小さくなければ難しい。
物理的に存在する以上相手も襲われれば気づくだろうし、抵抗もするだろう。
刃物でも振り回されてヒットしたら、もちろん救急車も呼ばれずに終わりである。
一番不幸なのは、襲われたうえに部屋に透明な死体が放置されてしまう被害者にほかならないが、透明人間になったほうもどちらかといえば幸運ではなく不幸ですらある。
しかし、なってしまったものはしょうがない、なったらなったでそれなりに楽しんでいくしかないだろう、もちろんエロい方向に。
そんなわけで今回紹介するのは透明人間になってしまった男の話である。
ちなみに言うまでもないが異世界転移ものである。
もはや「なにも言わなかったら異世界転生か転移もの」ぐらいの認識でいてほしい。
『転移したのに透明人間 ~性交に導かれる王女様~』
これが今回紹介する作品だ。
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)