今日も一日、他人様(ひとさま)のパンツを盗まずにすんだ。
志(こころざし)が低すぎる、と思ったかもしれないが、実際このような欲望と日夜戦い続けている人は存在するはずである。
そして、その戦いに敗れた人が、法を犯し、体育館に並べられた大量の盗んだパンツ映像とともに夕方のニュースで実名報道されるのだ。
耐えている人がいる以上、我慢できない人間を擁護することはできないが、性癖というのは持って生まれたものである。
生まれつき自分の欲望を合法の範囲内で満たすことができない、というのはやはり不運としか言いようがない。
ちなみに、露出などの加害性のある癖を病気の一種として見る向きもあるようだが、今のところ一番の治療法は冗談ではなく「逮捕」と言われているらしい。
まず強制的に露出ができない状況に置かれる、そして露出をすることにより「逮捕」というすさまじい不利益が起きたという失敗体験からおのずと露出にストップがかかるようになるそうだ。
しかしその方法だと、癖というハンデはなくなっても今度は「前科」という十字架を背負って生きることになってしまう。
このように法を不悪口した性癖を持って生まれた人間の人生はハードモードなのだ。
ちなみに不悪口は「ふあっく」と読む。
人を仲たがいさせるようなことを言ってはならない、という立派な仏教用語なので使っても全く問題のない言葉だ。
だがこの言葉と発音が似ているFから始まる言葉を使っていい媒体はほぼ存在しない。
よってF的なことを書きたくなったら、不悪口と書いて衝動を抑えるのだ。
もちろんホンモノを使った時の爽快感には劣るが、それが禁じられている以上、代替物で我慢するしかないのだ。
癖も同様であり、痴漢は犯罪だが、痴漢ものAVや風俗の痴漢プレイなどで取り急ぎ股間にご納得いただいて生きている人もたくさんいると思う。
また、勝手に自ら法とか倫理とかを作って勝手に苦しんでいる愚かな人間を見かねて神は、ひとりにつきひとつ「脳内」という治外法権の場所を与えている。
ここでならなにをやってもとがめられないし、そもそも気づかれない、むしろそんな便利な場所を持っていながら現実でヤってしまう奴がいるのが不思議でならない。
しかし、世の中には「想像」が苦手な人がいる。
そんな神に愛されなかった人を救うのが、想像が得意な奴が自らの脳内を具現化した「創作」である。
つまりオシリス文庫のラインナップも全て「神の慈悲」と言っても過言ではない。
だが、世の中には法に触れる癖を創作で満たしたいが、創作とわかっていても女の子が酷い目に遭うのはかわいそうで見てられない、という面倒くささここに極まった人もいる。
だがこういった「股間と心の性癖が離反」という人もけっこう多いのだ。
そんな人のためにあるのが、今回紹介するような「フィクションの中にフィクション」タイプの作品である。
『天才乙女は敗北したい 異世界で調教師始めたら変態マゾしか来ない件』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)