日本はほかの先進国にくらべアナログ信仰が強い国で、特に紙に対する執着は常軌を逸しており、いまだに「ファッ○ス」なる欧米で口にしたら射殺されてもおかしくない放送禁止機器が現役で使われているオフィスも珍しくない。
先のオリンピックでも公共放送局が「ファッ○スで選手を応援しよう!」とい常軌を逸した企画をして他国を「ジーザス……」と神に祈らせていた。
しかし、紙フェチ国家日本もコロナの影響でいつまでも紙や印鑑にこだわっていられなくなったため急速にデジタル化、オンライン化が進むことになった。
だが、あらゆるものがハイテク化する中でいまだに、進化があまり見られないシーラカンスやカブトガニみたいな分野もある。
個人的にいちばん進化がないのは「傘」ではないかと思う「頭の上になにか覆いを作れば濡れない!」という方法は、下手をすれば原始人ですらやっていた可能性がある。
だがいまだに「頭の上に覆いを作る」以外の方法が見つかっていないのも確かなのだ。
それと同じ理屈なのが「避妊」である。
確かに最近は薬物や機器、手術など方法が多様化しているが、いまだに「棒に袋をかぶせて精子が漏れ出ないようにすればよいのでは?」というアナログここに極まった方法がいちばんメジャーなのである。
いつまでもこのままではいかん、ということから最近「キンタマに放射線を当てて精子を1~2週間殺す」という「大丈夫かソレ?」としか思えない機器も発表されたが、しばらくは袋をかぶせる原始人方式が主流のままと思われる。
しかし、避妊具に関してはいまだにアナログ色が強いのに対し、オナホやバイブなどの玩具は進化の一途であり、もはや本物より本物、VRとオナホを併用すれば数え役満で「童貞卒業」と言っても過言ではなくなりつつある。
だがこのままいくとAIやロボットに乗っ取られるSFのように、人間がオナホやバイブの汗拭き係になる日も遠くないのではないかと思う。
だが「ハイテク玩具」を使う時は少し注意してほしい。
最近は、通信機器だけではなくエアコンや洗濯機などもオンライン化する時代であり、大人の玩具も例外ではなく、宗谷岬(そうやみさき)から与那国島(よなぐにじま)にいるSMプレイの奴隷を調教できるオンライン玩具も登場しているようだ。
しかしパソコン同様オンライン化することにより「流出」や「乗っ取り」のリスクが発生してしまうのである。
実際、海外ではバイブメーカーかユーザーに無断でバイブから使用データを収集していたとして訴訟が起こったそうだ。
またオンライン玩具を使った「人質事件」も発生したそうだ、人質に取られたのは文字どおりの「ムスコ」である。
使われた道具は「男性用貞操帯」であり、それをつけられるとセックスやオナニーは不可能になる。
その貞操帯はオンライン化しており、ご主人様は遠くからでもロックを開閉できるという寸法だ。
その貞操帯が乗っ取られ「金を払わなければお前は一生貞操帯をはずすことができない」と脅迫される事件が起こったそうだ。
このような凶悪事件の被害者になる恐れがあることから、できれば玩具はオフラインのものを選んだ方がよい。
だが、オンだろうがオフだろうがつけられた方は外せないのが貞操帯であり、今はもっぱらプレイ用の玩具として使われているが、昔は不貞防止のために強制的につけさせる非人道的なものであったという説もある。
そんな人権侵害に苦しむ女を救うのが今回の作品だ。
『異世界鍵屋と貞操帯 ~アソコの鍵穴、解錠します~』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)