前にも書いたが、異世界転生や異世界転移、異能力ものは大別すると「サクセス」と「リベンジ」に分かれ、男は「サクセス」、女は「リベンジ」を好む傾向にあるという。
つまり、同じチートスキルを授かったとしても、男は魔王を倒し世界を救う英雄になるために使い、女は今まで自分をいびってきた女の頭蓋骨を粉砕するために使うのである。
話のスケールとしては明らかに前者の方がでかいのだが、こちらにとっては世界の崩壊よりも憎い女の頭蓋骨破壊の方が一大事なのである。
逆に言えば、たとえ地位、名誉、イケメン、全て手に入れたとしても、敵の頭蓋骨が無傷ならそれはもはや「バッドエンド」なのだ。
では男はリベンジに興味がないかというとそんなことはない。
なぜなら今でもネットに出回っている実話系修羅場話界では「不倫や浮気をした女と間男に制裁を加える話」が高い人気を誇っているのだ。
人気があるため数も多いのだが、正直どれも同じような話なのである。
「妻の不倫に気づいた夫が動かぬ証拠と弁護士パワーで『本当に愛してるのはあなただけなの』とすがる妻に多額の慰謝料を請求して離婚、間男にも慰謝料を請求したうえ、相手の会社にチクり社会的にも抹殺する」という話が約20年ぐらい前から寸分の狂いもなく量産され、ネットに出荷され続けているのである。
それにもかかわらず誰も「もういい、飽きた」と言い出さないのはビッチが地獄に落ちる話は何度聞いても飽きないからだ。
やはり人間はどストレートな勧善懲悪が好きであり「サレ夫がシタ妻を成敗する話」はジャンルとしては「桃太郎」と同じなので、今後何十年どころか何百年と同じ話が語り継がれていくであろう。
ちなみにごくたまに社会や経済的制裁ではなく「逆にこっちが訴えられてもいいからコイツを殺す」という不退転の決意で圧倒的暴力制裁にでる話もあるが、これはこれで味わい深い珍味として業界では人気がある。
ちなみにこれもあくまで傾向の話だが、男は女に浮気された時、女の方に怒りを向けるが、女は男ではなく浮気相手の女の方に怒りや刃物、銃口を向けるという。
つまり「ビッチが地獄に落ちる話」は男女ともに需要がある、ということだ。
そんな全人類の好物といっても過言ではないアバズレスレイヤーものなのだが、意外とオシリス文庫にはそういう話が少なく、リベンジよりも新しく手に入れた能力と新しい世界で、つかもうぜゴールデンボール、この世はでっかい宝島、というサクセスものの方が多い印象だ。
しかし、リベンジがないわけではない、今回紹介するのは昔から皆に愛され続ける復讐ものである。
『悪魔のアプリで復讐を-ステータス操作で絶頂地獄-』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)