せっかくエロ創作を読むなら現実では不可能なエロを見てみたい、という気持ちは誰にでもあると思う。
しかし「現実では不可能なエロ」が2種類ある。
まずひとつ目は「突然やってきた美少女転校生になんの理由もなく惚れられたのを皮切りに、ツンデレ幼馴染が自分のことをずっと好きだったことが判明し、そこから次々といろんな女(なぜか全員タイプが違う)がスマッシュ兄弟ばりに『参戦!』を表明し、ハーレムが形成されるも、どうしたことか女たちは喧嘩することなくむしろ仲よくしている」という、都合がよすぎて現実で起こる可能性はほぼゼロのエロだ。
そしてもうひとつは「やってはいけないエロ」だ。
法や倫理、相手の人権を無視した、もしくはドストレートに「そんなことしたら死にます」という危険なプレイを伴うエロだ。
最後に「技術的に無理なエロ」だ。
エロ創作には挨拶がわりに「セックスしなきゃ死ぬ病にかかる薬」が出てきたりするが、現実であそこまで強力かつ人体に無害な媚薬は存在しないと思われる。
「セックスしないと出られない部屋」も構造が謎すぎるし、そもそも拉致監禁だ。
当然のように3つ目が登場してしまっているが、エロをふたつに分けろというのは宇宙を二分しろと言っているようなものだ。
このように現実では難易度が高いことも創作なら簡単である。
最近は「フィクションでも子供はダメに決まってるだろいい加減にしろ!」と規制も厳しくなりつつあるが、それでも現実に比べればかなりフリーダムだ。
法や相手の人権を無視し、不思議な力で人体の耐久力を超えた無体(むたい)をし、それにも関わらず女はポリスに駆け込まない。
むしろセックスしないと出られない部屋はあっても警察は存在しないとしか思えないゴッサムワールドで邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)のかぎりが尽くせるのである。
しかしそういう作品は、自分で読んでおいてなんだが「あんまりじゃないか?」と読後や読んでる途中に落ち込んでしまうことがある。
せっかく創作なのだから現実にはない刺激を得たい、だがそれによって自分が落ち込んだり傷ついたりするのは嫌だ。
そんな注文は多いが、自分がダメージを負う度胸はない傷つきやすい俺たちのためにあるとしか思えない作品がオシリス文庫には存在する。
『天才乙女は敗北したい 異世界で調教師始めたら変態マゾしか来ない件』
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
(編集部注:全年齢向けです。FANZAでは配信しておりませんのでご注意ください)