この連載も今回で最終回である。
気づけば約50作品ものエロラノベを読んでいた。
シリーズ化して巻数を重ねているものもあるので冊数からするとそれ以上だろう。
そう聞くとエロ小説をタダで読めて金までもらえて最高だと思うかもしれない、しかしエロというのは見たい時に見たいエロを見るから最高なのだ。
逆に言えば見たくない時に見るエロというのは、風邪の時に出されるカルボナーラうどんであり、確かにそれはよいものである、「だが、今じゃない」なのだ。
だが仕事で「今」を待っていては締め切りに間に合わない。
よって全くそんな気になれない時にもエロコンテンツを凝視し、親友(とも)が死んだ日でも「異世界おっぱい」などとタイプしなければいけないのがエロを仕事にするということだ。
だがエロに限らず、それが仕事でおち○ぎんがもらえるから人は多少の苦痛に耐えられるのである。
逆に言えば、おち○ぎんももらえないのに見たくもないおち○ちんを見せられるのは理不尽でしかないということだ。
エロはよいものだが、そこには必ず「見たくない人への配慮が必要」ということである。
このようにエロはいつも大事なことを教えてくれるし、ある意味時代の影響を一番受け、世相を表している社会派ジャンルがエロなのだ。
おでん店は大根を食べれば全体の実力がわかるというように、その国の文化や社会情勢を知りたければまずエロを見てみるべきだろう。
オシリス文庫も例外ではなく50本ほど読んだことで、現在の社会情勢、表現の自由問題、それに対する作り手の苦悩などさまざまなものが見えてきた。
まず誰が見てもわかるのが「異世界、異能力、異生物人気すぎ」ということである。
約50本の作品を読んだが、上記の3つが全く出てこない現代劇は10本以下だ。
現在の異世界系の人気は本物であり、乗るしかないビッグウェーブに乗りに乗っているともいえるが、乗っているだけではない。
そもそもAVでさえ昔から「絶対現実で真似をするな」と言われており、AV界では挨拶レベルで当然の如く行なわれている顔射ですら、現実世界で素人の彼女に、それも無許可で行なったら、初犯でも執行猶予なしの実刑と言われている。
つまりアダルトコンテンツというのは総じて「ファンタジー」なのである。
もともとファンタジーなのだから、異世界や異能力などのファンタジー要素と相性が悪いわけがなく、鬼に金棒、というか鬼の金棒も昇天である。
よって、ただ流行りに乗っているだけではなく、エロと異世界や異能力との相性のよさを活かした、思わず感心してしまうアイディア作品が多かった。
例えば第5回で紹介した『社会人が築く亜人ハーレム』に出てきた「テレポートフェラ」はのっぺらぼう女子が口だけを股間に飛ばしこっそりフェラチオをするプレイで、異生物や異能力を、なにもそこまでというぐらい活かしている。
漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。
株式会社KADOKAWA発のアダルトライトノベル。300点を超える官能小説をデジタル初出で配信中。全作品が電子書籍なのでBOOK☆WALKER、Amazon、DMMなどいろんなサイトですぐ購入できます!
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